「ハトがマンションのベランダに寄ってこないように、ハトが嫌いな匂いや音を使った対策はないですか?」
ハトの被害に悩まされている方からは、上記のようなご質問をよくいただきます。
ネット上では色々な「ハトが嫌いなもの」が挙げられていますが、実は根拠がないものが多く存在します。
この記事では、ハトが嫌いな匂い・音の一覧と、それぞれハト防除に適した使い方について解説したいと思います。
もくじ
ハトが嫌いなもの一覧
ここでは、匂い・音の2つに分けて『ハトが嫌いなもの一覧』をご紹介いたします。
ハトが嫌いな匂いとは
ハトが嫌いな匂いの中でも、有名なものは下記5つです。
- 【ハトが嫌いな匂い5つ】
- ・木酢液
- ・ミント
- ・トウガラシ
- ・バラ
- ・漂白剤
「木酢液・ミント・トウガラシ」の3種類は、ハトに限らず害虫・害獣全般が嫌いな匂いなので知っている方も多いと思います。
反面、「バラ」と「漂白剤」についてですが、こちら2つについては「生物学的根拠がない(裏付けがない)」、『噂(うわさ)』としてよく上がる匂いです。
バラと漂白剤はハト除け対策には使えない?
ハトがバラの匂いを嫌がるのは、「バラの『棘(とげ)』で体が傷つくのを嫌がるので、バラの香りがする場所には近寄らない」という説が有名です。
ただ、この説が本当かどうか裏付けるような研究結果はありません。
また、「バラの花壇にハトのフンが散乱している!」というトラブルに遭っている方もいらっしゃいましたので、バラを使った対策はおすすめできません。
漂白剤については、『ハトのフン掃除(消毒)に漂白剤を使う』という方法が間違って伝わっているか、「ハトに漂白剤をかけたら逃げていった(違法です)」という匂いと関係ない話が勘違いで広まっていると思われます。
※ハトは鳥獣保護法で守られている動物の中でも、特に厳しく守られている動物です。駆除はもちろん、捕獲や弱らせる行為も法律で禁止されているので注意しましょう。
ハトが嫌いな音とは
「ハトが嫌いな音」というのは、今のところ存在しません。
「え?ハト対策には、超音波装置が良いって聞いたけど・・・」という方もいらっしゃると思いますが、ハトには超音波は効きません。
過去に音による鳥害防除に関する論文が発表されており、「音声の利用による鳥害防除(農業研究センター鳥害研究室)」でも、市販の超音波装置が鳥害防除に有用であるという結果は見られなかったとされています。
実際、業者でも「屋外にいる動物」の忌避対策で超音波装置を使うことはないので、購入を考えていた方は別の忌避対策にされることをおすすめします。
ハトが嫌いなものを使った寄せ付けない対策
記事前半でハトが嫌いなもの一覧を紹介しましたが、ここでは「嫌いなものを使った寄せ付けない対策」をご紹介します。
ただ、一覧の中にあった「バラ・漂白剤」については、「生物学的根拠がない」ものですのでこの記事では除外いたします。
- 【寄せ付けない対策もくじ】
- ・木酢液を使ったハト対策
- ・ミントを使ったハト対策
- ・トウガラシを使ったハト対策
- ・忌避剤を使ったハト対策
さらっと目次に追加されていますが、「忌避剤(ハト除け成分を含んだ薬剤)」もハト対策の基本ですので、参考までにご紹介したいと思います。
ハトが嫌いな匂い「木酢液」を使った対策
- 【こんな目的の人におすすめ】
- ・なるべくラクな方法がいい
- ・匂いがきつくてもハト対策が重要
木酢液は「非常に匂いがキツイ」ので、ハト対策をする側の人間も「匂いがキツくて耐えられない」ということがあります。
一方で、ハト以外の害虫・害獣対策にもなるので、「いろんな害虫・害獣対策になるなら、多少の匂いは我慢できる」という方におすすめです。
木酢液を使ったハト対策のやり方
木酢液を使ったハト対策は、下記のようにやります。
- 【木酢液を使ったハト対策のやり方】
- 1.ペットボトルを半分に切る。
- 2.半分に切ったペットボトルの下側に、木酢液の原液を半分ほど入れる。
- 3.ベランダの四隅など、普段ハトが寄ってくる場所にペットボトルを設置。
- 4.木酢液が少なくなったら、新しい木酢液をつぎ足す。
畑の野菜に撒くときは、水で希釈(薄めること)しますが、ハト対策では水で薄めると匂いも薄くなるので、原液のまま使います。
ただ、賃貸物件の場合は、この方法を使うとまわりから「異臭」の駆除が来ることがあるので、「ミント」もしくは「忌避剤」を使った対策の方がおすすめです。
ハトが嫌いな匂い「ミント」を使った対策
- 【こんな目的の人におすすめ】
- ・賃貸物件なのでなるべく強い匂いのものは使いたくない
- ・今は困っていないけど「予防」として対策したい
ミント(ハッカ油)は、「匂いはキツくない」ので、賃貸物件のベランダのような「あまり強い匂いのものが使えない場所」で使うのに向いています。
使い方も簡単で、「ハッカ油スプレーをハトが停まる場所に撒くだけ」です。
使い勝手がいいので「はじめてハト対策をする」という方に人気ですが、「効果が弱い・定期的なスプレーのやり直しが必要」といったデメリットもあります。
ミント(ハッカ油)スプレーはハト対策には効果薄い
市販されている「ミント(ハッカ油)スプレー」は、原液100%のものでも屋外に撒いたら2~3時間後には匂いが飛んでしまいます。
そのため、「ハトが朝の数時間近くによってくるから予防で」「今はハトがいないけど、お隣から移動してきそう」という場合の『予防』以外では使いものにならないでしょう。
「でも、既にハトがいるけど、木酢液のような強烈な匂いのものは使えない」という場合は、「忌避剤」を使った対策がおすすめです。
ハトが嫌いな匂い「トウガラシ」を使った対策
- 【こんな目的の人におすすめ】
- ・とにかく強力なハト除け対策をしたい
- ・戸建てだからどんな匂いでも使える
匂いを使った害虫・害獣対策で一番強力なものが、「トウガラシ」を使った対策です。
トウガラシを使った対策は色々ありますが、例えば「ベランダ」で対策をする場合は「トウガラシ焼酎スプレー」か「トウガラシ線香」がおすすめです。
それぞれ、作り方や使い方をご紹介いたします。
トウガラシ焼酎スプレーの作り方と使い方
- 【トウガラシ焼酎スプレーの作り方】
- 1.ペットボトルに、焼酎500mlとトウガラシ30gほどを入れる。
- 2.約1ヵ月放置して、完成。
焼酎は35度以上のものがおすすめですが、それより低い度数のものを使う際は、トウガラシの成分が染み出すのが遅くなるので、「2ヵ月位放置」した方がいいでしょう。
- 【トウガラシ焼酎スプレーの使い方】
- スプレーを使うときは、まわりに人がいないことを確認しましょう。
- また、散布するときは「手袋・長袖・ゴーグル・マスク」をしっかり装着して、自信の体に付着しないように気をつけましょう。
- 1.スプレーボトルに、トウガラシ焼酎10mlに対して水100mlを入れる。
- 2.ベランダや軒下など、普段ハトがよく来る場所に散布する。
- ※ハトに直接スプレーしないようにしましょう。鳥獣保護法違反になります。
トウガラシ焼酎スプレーは、効果が強力な一方で「自分にかかったときが怖い」「事故・怪我の危険性がある」というデメリットがあります。
そのため、「トウガラシ焼酎スプレーは怖い」という方には、次で紹介する「トウガラシ線香」を使われることをおすすめします。
トウガラシ線香の使い方
トウガラシ線香とは、名前の通り「トウガラシの成分(カプサイシン)」を含んだ線香のことです。
最近はキャンプや登山で「くま・蜂よけ」グッズとして紹介されることもあるので、知っている方もいらっしゃるかもしれません。
使い方は簡単で、ハトが寄ってくる場所の近くで、トウガラシ線香を焚くだけです。
「線香が切れたら、新しいのをセットする」手間はありますが、トウガラシ焼酎スプレーよりも簡単・安全に使える点がおすすめです。
ハトが嫌いな「忌避剤」を使った対策
ハト用忌避剤は「固形タイプ」「スプレータイプ」「ジェルタイプ」の3種類がありますが、簡単でそこそこの効果があるのが「スプレータイプ」です。
- 【忌避スプレーの使い方】
- ベランダや塀など、普段ハトが止まっている場所に直接スプレーするだけ。
- ※3~4時間で効果が切れるので、ハトがよく来る時間に合わせて都度スプレー。
スプレータイプよりも効果時間が長く、強力な「ジェルタイプ」も飛来場所に塗布するだけでラクですが、「掃除が必要」というデメリットがあります。
そのため、まずは「スプレータイプの忌避剤を試してから、あまり効果がなかったらジェルタイプ」にするのがおすすめです。
ハトが嫌いなものを使っても寄ってくる原因とは
「ベランダに忌避剤を使っているけれど、やっぱりハトが寄ってくる」というような人もいらっしゃると思います。
色々と対策をしていても、状況によってはハトが戻ってきてしまうことはよくあります。
ここでは、どうしてハトが寄ってくるのか、原因と対策を解説したいと思います。
ハトが嫌いなものに「慣れてしまった」
木酢液やハッカ油を使っている方に多いのですが、「ハトが匂いに慣れてしまう」とどれだけ対策をしても効果がなくなります。
木酢液やハッカ油は、「ハトが定期的に居つく前の段階」の忌避対策には使えますが、「ハトが既に長く居ついた」状態ではあまり効果がありません。
このような場合は、トウガラシ線香や忌避剤など、より強い忌避対策を試してみてください。
ハトが集団で住みつくと「帰巣本能」で帰ってくる
ハトが毎日寄ってきている場合、その場所は既に「巣」として認識されている可能性が高いでしょう。
ハトは鳥類の中でも、特に帰巣本能が高いので、一度「巣」として認識された場合はハト対策にかかる期間は長くなります。
このような場合は、ハトが来なくなるまで、「ジェルタイプの忌避剤」を使い続けるしかありません。
忌避剤以外にも、「防鳥手ぐす」や「とげマット」で物理的にハトが止まりづらくする方法もありますので、どうしてもハトが寄ってくる方はそちらも検討してみてはいかがでしょうか。
ハトが嫌いなものを使った寄せ付けない対策まとめ
ハトが嫌いなものを使った「ハト避け(忌避対策)」は色々ありますが、種類によって「使いやすさ・効果の時間・使いどころ」は異なります。
また、どれだけ頑張って対策しても、ちょっとした見落としや環境的な問題で、ハトが寄ってくるということもあります。
そのため、「自分でやってみたけれど、どうしてもハトが寄ってくる」という場合は、業者への依頼も検討してみてください。
業者によって技量・料金は異なりますので、2~3社くらいに見積りを取って、対応や料金を確認してから正式に依頼されることをおすすめいたします。