蜂の巣を駆除するときは、活動時期や活動時間帯に沿って、それぞれに適した駆除方法を考えると安全に駆除をすることができます。
しかし、肝心の「蜂の活動時期・時間帯が分からない」「適した駆除方法が分からない」というお話をよく聞きます。
そこでこの記事では、蜂の活動時期や時間帯をはじめて、時期・時間帯別に適した駆除方法などを解説いたします。
もくじ
蜂の活動時期と時間帯とは
蜂の活動時期は、3月下旬~11月下旬が一般的です。しかし、3月下旬からいきなり元気な蜂の大群が現れるというわけではありません。
また、活動時間帯についても、5~21時が活動時間帯と言われていますが、この時間帯ずっと元気に動くというわけでもありません。
それぞれの時期・時間帯で最も活動的になる時間帯、いわゆる「ピーク」がありますので、まずはそれについて解説したいと思います。
蜂の活動時期は4月と8月がピーク
蜂の活動時期は「3月下旬~11月下旬」ですが、最も活動的(攻撃的)になるのは4~6月の巣作りと8~9月の子育て時期になります。
- 【活動的(攻撃的)になる時期】
- ・4~6月の巣作り時期
- ・8~9月の子育て時期
特に、「8~9月の子育て時期」では、蜂の数が4~6月よりも増えているため、駆除の危険度が高くなります。
個人での蜂の巣駆除は4~6月までが安心
スズメバチもアシナガバチも、4月のはじめに女王バチが1匹だけで巣づくりを開始します。
女王バチは、冬眠から目覚めて1~1カ月半は「巣づくり、産卵、子育て」などをすべて1匹で行います。
大体、5月位になると女王バチが新しく作った巣で働きバチが羽化して数が増えますが、まだ成長しきっていない弱い個体ですので、比較的簡単に駆除ができます。
スズメバチ・アシナガバチ・ミツバチなどの種類によって、少しずつ活動時期がずれていますので細かい活動時期を知りたいという方はページ下部をご確認ください。
蜂の活動時間帯は6~18時がピーク
蜂の活動時間帯は5~21時ですが、最も活動的になる時間帯は「6~18時」です。
6~18時の間は、狩りや巣づくりが盛んになりますが、18時を過ぎると巣に戻ります。
ただ、巣に戻っても、幼虫の世話や餌の管理、巣周辺の見回りを行っているので、休んでいるというわけではありません。
蜂の巣の駆除に適した時間帯は日没後
蜂の駆除は、18時以降の「日没後」がおすすめです。北海道と九州地方では「日没」の時間が違うので、18時という時間よりも「日没後」という部分に注目しましょう。
ちなみに、「4~5時の早朝もおすすめ」という話を聞きますが、これは働きバチが育っていない「4~6月初旬」の時期限定になります。
6月中旬~10月の時期は、働きバチの数は数十匹~数百匹に増えており、4~5時でも見張り役の蜂がブンブン巣の周りを飛び回っていますのでご注意ください。
蜂の種類別の活動時期
スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチでは、女王バチが冬眠から目覚める時期が異なるため、活動が活発になる時期も少しずつ異なります。
また、それぞれの細かい種類(例えば、オオスズメバチやキアシナガバチなど)によっても、巣づくりや子育て時期が異なります。
そこでここでは、各種類別の活動時期について詳しく解説いたします。
スズメバチの活動時期
スズメバチについてですが、巣作り開始の時期から非常に攻撃性が高いため、駆除をする際はどんな時期でもしっかり準備されることをおすすめします。
スズメバチの種類 | 巣づくりの時期 | 数が増える(危険な)時期 | 巣にいる数(目安) |
---|---|---|---|
オオスズメバチ | 5月上旬~ | 7月~10月 | 200匹~1,000匹 |
モンスズメバチ | 5月上旬~ | 6月~10月 | 100匹~500匹 |
キイロスズメバチ | 4月中旬~ | 5月下旬~11月 | 200匹~1,300匹 |
コガタスズメバチ | 5月上旬~ | 6月~11月 | 40匹~300匹 |
ヒメスズメバチ | 5月上旬~ | 7月~10月 | 30匹~100匹 |
※巣にいる数の最低数は、働きバチの羽化(数が増える時期)以降の数値です。目安ですので、周辺環境によって数は異なります。
近年は、温暖化の影響なのか、表に書いた時期よりも早い時期に目撃情報が出ることがあります。
巣づくりの時期が早まると、働きバチの羽化時期も早くなりますので、あくまで目安程度に使ってください。
6月を過ぎたらスズメバチの数は一気に増える
スズメバチは巣作りの開始時期が他の蜂より遅いですが、「増えるスピードはとても早い」ので他の蜂感覚で駆除しようとすると準備不足で駆除しきれないという失敗が起きます。
特に、「オオスズメバチ・モンスズメバチ・キイロスズメバチ(表の上3種)」については、非常に攻撃性が高いので巣を見つけたら早めに駆除されることをおすすめします。
ただし、「オオスズメバチ」については、市販の殺虫剤では「駆除対象外」になっているので、専門業者に駆除を依頼されることをおすすめします。
アシナガバチの活動時期
アシナガバチは、こちらから攻撃しなければ襲ってこないと言われていますが、次の女王バチを育てる時期(子育て時期)では近くを通っただけで攻撃されることもあるので、ご注意ください。
アシナガバチの種類 | 巣づくりの時期 | 数が増える(危険な)時期 | 巣にいる数(目安) |
---|---|---|---|
セグロアシナガバチ | 4月~ | 6月~9月 | 20匹~50匹 |
フタモンアシナガバチ | 4月下旬~ | 6月~9月 | 50匹~100匹 |
キアシナガバチ | 5月~ | 7月~8月 | 20匹~50匹 |
コアシナガバチ | 5月~ | 7月~9月 | 20匹~50匹 |
※巣にいる数の最低数は、働きバチの羽化(数が増える時期)以降の数値です。目安ですので、周辺環境によって数は異なります。
スズメバチと比べると活動期間や巣にいる数が少ないですが、毒性はスズメバチと同様で、刺されるとアナフィラキシーショックを起こして死ぬこともあるので注意しましょう。
自分でできる駆除のやり方については、下記ページでご紹介しています。
>>>蜂の巣を自分で駆除する方法~落とした後の処理方法まで解説~
ミツバチの活動時期
ミツバチは、女王バチだけでなく働きバチもみんな越冬するので、ほぼ1年中が活動時期です。
ちなみに、越冬時期は11月下旬~2月下旬(地域で異なる)で、蜜を集め始めるのは3月上旬ごろからです。
ミツバチについては、「はちみつが取れる」「攻撃性が低い」ので「放置しておこうかな~」と思われる方が多いですが、養蜂の管理ができない場合は駆除した方がいいでしょう。
ミツバチの巣があるとスズメバチが近寄ってくる
オオスズメバチとキイロスズメバチは積極的にミツバチを襲ってくるので、家の近くにミツバチの巣があるとこの2種類のスズメバチと遭遇する確率が高くなります。
オオスズメバチは数十匹の集団でミツバチの巣を丸ごと襲うことがありますが、周辺環境が自然豊かな場所でないと巣を作って居つくことは少ないでしょう(緑地公園や屋上緑化に巣ができることはあります)。
対して、キイロスズメバチは1匹ずつミツバチを捕獲して巣に持ち帰って捕食しますが、巣を作る場所に好みがないので餌が豊富なミツバチの巣の近くに巣を作られる可能性があるのでご注意ください。
蜂の活動時期別に適した駆除方法
「蜂の駆除って、防護服とか専用の殺虫剤とか揃えるから大変そう」と思われるかもしれませんが、時期によってはそういったものを用意しなくても駆除できることがあります。
ただ、やはり特定の時期では、防護服や専用殺虫剤を用意しなくてはいけないということもあります。
そこでここでは、蜂の活動時期に適した駆除方法について解説いたします。
4月~6月の春に蜂の巣を見つけた場合
4~6月は、スズメバチも巣づくりをはじめたばかりの時期ですので、「捕獲器」を使った駆除方法が使えます。
- 【蜂の捕獲器とは?】
- 粘着性がある誘引剤で蜂を容器の中に閉じ込めて、駆除する方法。巣作り防止のためによく使われる。
蜂の捕獲器には、「アシナガバチ用」と「スズメバチ用」の2種類がありますが、「スズメバチ用」はアシナガバチも捕獲できるので、迷ったときはスズメバチ用を選ぶといいでしょう。
7月~8月の夏に蜂の巣を見つけた場合
7~8月の夏になると、どの蜂も働きバチの数が増えているので、駆除業者に依頼されることをおすすめします。
ただ、「巣の大きさが15cm未満」の場合は、防護服や専用殺虫剤などの道具をしっかり準備することで個人でも駆除できることはあります。
詳しい駆除の方法については、下記ページで解説しています。
>>>蜂の巣を自分で駆除する方法~落とした後の処理方法まで解説~
9月~10月の秋に蜂の巣を見つけた場合
9月~10月は、次世代の新しい女王バチが羽化する時期であり、どの蜂も非常に攻撃的になる時期です。
この時期に関しては、スズメバチ・アシナガバチともに自分での駆除はおすすめしません。駆除を考えている方は、業者に相談されることをおすすめします。
11月を過ぎると越冬準備と寿命で一気に数が減る
働きバチの寿命は「羽化後3カ月程度」ですので、本格的に数が増える7月ごろに羽化した蜂も11月ごろには大半が寿命を迎えています。
基本的に蜂は1度使った巣を再利用することはないので、気にならないのであればそのまま冬を迎えてしまってもいいでしょう。
ただ、女王バチが働きバチがいなくなった巣の中で越冬することがあるので、翌年の春に備えて、数がグッと減った12月に巣を駆除するのもいいでしょう。