庭木の中でも、特に虫がつきやすいのが『梅の木』です。
梅の木の場合は、大体3~6月にかけて毛虫駆除や消毒依頼が増えるのですが、中には『自分で駆除(消毒)する方法を教えて欲しい』という方もいらっしゃいますが、無料レクチャーは全てお断りしています。
ただ、梅の木に寄ってくる毛虫の多くは『毒針毛』を持っているものが多いため、『業者が繁忙期で予約が取れないから、仕方なく自分でやりたい』という緊急時で仕方なく自分でやりたいという方もいらっしゃいます。
そこでこの記事では、自分で梅の木の毛虫駆除や消毒をやる方法や、業者依頼する場合の費用がどれくらいかかるのかなどについて解説したいと思います。
目次 [非表示]
梅の木につく毛虫の種類とは
「梅の木に毛虫がたくさんいるけど、何ていう名前の毛虫なのか知りたい」という方もいらっしゃると思います。
そこでまずは、梅の木につく毛虫の種類や特に注意した方がいい毛虫についてご紹介したいと思います。
梅の木は毛虫が特につきやすい樹木
桜の木と同様に、梅の木も毛虫がたくさんつく樹木です。
毎年、被害報告が多いものでいうと、下記のような毛虫が挙げられます。
毛虫の種類 | 特徴 |
---|---|
イラガ | 毒針毛を持っており、刺されると激しい傷みと赤み・腫れを発症。 |
チャドクガ | 毒針毛を持っており、刺されるとかゆみ・発疹を発症。 |
ウメスカシクロバ | 毒針毛を持っており、刺されると赤み・腫れ・かゆみを発症。 |
オビカレハ | 放置すると『葉』が全部食べられてしまい、樹勢が弱っていると、最悪枯れてしまう。 |
モンクロシャチホコ | 葉を大量に食べられる。若木の場合は、葉を全部食べられてしまい、枯れることもある。 |
上記が、梅の木によくつく毛虫の種類です。
他の毛虫がつくこともありますが、特に居つく・大量発生するものというと上記5種類になります。
表の特徴欄を見てお気づきだと思いますが、梅の木は『毒』を持った毛虫がつきやすいという特徴があります。
梅の木につく毛虫で要注意なのが『イラガ・チャドクガ』
『イラガ・チャドクガ・ウメスカシクロバ』は毒を持った毛虫ですが、このうち特に要注意なのが『イラガ・チャドクガ』の2種類です。
この2種類は、『消毒時期が遅れると、大量発生しやすい』『他の庭木にも移る』『落ちてきやすい・刺されやすい』と毛虫の悪いイメージをギュッと詰め込んだような毛虫です。
この2種類が梅の木についていたら、早めに駆除施策をされることをおすすめいたします。
梅の木の消毒はいつ頃やるべき?
『毛虫が発生しないように、梅の木の消毒をしたいけれど、時期がわからない』という方がいらっしゃいます。
梅の木の場合、毛虫だけでなく、『アブラムシ』のような他の害虫対策のための消毒も必要になるため、『いつ頃やるべきなのか』が分からない方が多いようです。
そこでここでは、梅の木の消毒時期や方法についてご紹介したいと思います。
梅の木の毛虫防除の消毒時期は『3~4月末』『5~6月末』
梅の木の毛虫防除目的の消毒は、『3~4月末』『5~6月末』の2回に分けて行うのが理想的です。
この時期に消毒を行っておけば、『イラガ・チャドクガ・オビカレハ』の発生防除に役立ちます。
特に『5~6月末』の消毒は、大量発生しがちな『チャドクガ』と『アブラムシ』の2種類の防除を目的に行う重要な消毒になるので忘れないようにしましょう。
秋の毛虫発生防除目的なら『9~10月』に実施
『ウメスカシクロバ・モンクロシャチホコ』は秋に発生しやすい毛虫なので『9~10月』に消毒を行うのがおすすめです。
こちらは大量発生することは稀なので、『木についていたら消毒する』くらいの感覚で問題ありません。
ただ、『ウチは子供がいるから』『ご近所の人通りが多いから』という場合は、念のため9~10月に消毒しておくといいでしょう。
梅の木の毛虫防除向けの消毒方法
『梅の木の消毒って、難しそう』というイメージを持たれている方が多いのですが、実は『薬剤を水で薄めて、噴霧器で散布する』だけなので、特に難しいことはありません。
とはいえ、『使う薬剤の選定』『希釈のやり方』は知識がないとできないことなので、やはり駆除・消毒作業をやったことがない人からすると難しいのだと思います。
ちなみに、毛虫・害虫防除のための消毒・駆除作業では、使う薬剤も散布方法も同じなので、次の見出しから詳しく解説したいと思います。
梅の木の毛虫駆除のやり方
ここでは、梅の木の毛虫駆除のやり方について、使う薬剤や希釈・散布の仕方などについて解説したいと思います。
梅の木の毛虫駆除では『スミチオン乳剤』が有名
梅の木の毛虫駆除・消毒をはじめて行う人が一番悩むのが、『何の薬剤を使ったらいいか分からない』というものだと思います。
ただ、ネットで調べると『スミチオン乳剤』という名前が出てくるので、何となくスミチオン乳剤を使うという人が多いと思います。
もちろん、スミチオン乳剤でも問題はありませんが、『梅の実を収穫して梅干しを作りたい』ような場合は、『ベニカ水溶剤』を使った方がいいでしょう。
梅の実の収穫を考えるなら『ベニカ水溶剤』を使う
梅の木の毛虫駆除に使える薬剤というと、『スミチオン乳剤』と『ベニカ水溶剤』の2種類がありますが、『実の収穫直前』であればベニカ水溶剤を使うのがいいでしょう。
項目 | スミチオン乳剤 | ベニカ水溶剤 |
---|---|---|
希釈倍数 | 1,000倍 | 2,000~4,000倍 |
使用液量 | 200~700ml/m² | 200~700ml/m² |
使用可能時期 | 収穫14日前まで | 収穫前日まで(24時間) |
総使用回数 | 2回以内 | 3回以内 |
上記のように、ベニカ水溶剤の方が『収穫直前まで使える』『総使用回数が多い』ので、実の収穫を目的とした害虫駆除・消毒に向いています。
散布方法はスミチオン乳剤と同じく『噴霧器』による散布ですが、『希釈倍数』が違うので、使用する場合はちゃんと『2,000~4,000倍』に希釈してから使いましょう。
梅の木の毛虫駆除のやり方
薬剤選びが済んだら、後は水で薬剤を希釈して噴霧器で梅の木に散布するだけです。
ただ、『希釈のやり方が分からない』という方もいらっしゃると思いますので、『スミチオン乳剤』と『ベニカ水溶剤』それぞれの希釈例をご紹介します(梅の木用の希釈例です)。
- 【スミチオン乳剤の希釈例(1L分)】
- 水999mlに、スミチオン乳剤1mlを加える。
- ※10L作るなら、上記数値をそれぞれ10倍してください。
- 【ベニカ水溶剤の希釈例(1L分)】
- 水999.5mlに、ベニカ水溶剤0.5mlを加える。
- ※10L作るなら、上記数値をそれぞれ10倍してください。
散布する際は噴霧器と防護ゴーグル・マスクなどの道具も必要になるので、持っていない方は購入しておきましょう。
※防護ゴーグルを100円ショップの水泳ゴーグル、防護マスクをタオルや普通のマスクで代用される方もいらっしゃいますが、安全性を考えると代用はおすすめしません。
噴霧器の準備や希釈が面倒なら『スプレー式殺虫剤』がおすすめ
『希釈とか難しすぎる』『もっと手軽にできる方法がいい』という場合は、スプレー式の毛虫用殺虫剤を使ってみてはいかがでしょうか。
毛虫用殺虫剤であれば、通常の殺虫剤よりも『遠くに届く』ようになっているので、木の高い位置にいる毛虫も脚立を使うことなく駆除することが可能です。
ただし、スプレー式の毛虫用殺虫剤を使った場合は『実の収穫ができなくなる』のでご注意ください。
梅の木の毛虫駆除・消毒を業者に依頼すると費用はどれくらいかかる?
ここまで、自分でできる毛虫駆除のやり方や消毒方法についてご紹介しましたが、「業者に依頼したい」という方もいらっしゃると思います。
業者によって料金体系は異なりますが、大体どれくらいの費用がかかるのか目安をご紹介したいと思います。
梅の木の毛虫駆除・消毒にかかる料金相場
庭木の毛虫駆除・消毒をする場合『施工範囲×樹高』によって、大まかな料金が決まりますが、大体1本あたりの料金目安は下記のようになっております。
梅の木の消毒料金の目安 | |
---|---|
低木(0~3m) | 1,800~3,500円 |
中木(3~5m) | 3,500~8,000円 |
高木(5~7m) | 8,000~12,000円 |
基本作業料金(最低料金) | 15,000~20,000円 |
上記の料金表についてですが、『基本作業料金(最低料金)を下回る作業の場合は、基本作業料金が見積り金額になる』という点にご注意ください。
- 【基本作業料金が見積り金額になるとは?】
- 例えば、低木1本のみの作業を依頼した場合の見積額は「1,800円」になるが、これは基本作業料金「15,000円」を下回っている。
- →このまま作業すると業者側は赤字になるため、基本作業料金「15,000円」が見積り金額となる。
業者によってはこの最低料金のルールをホームページに書いていないこともあるので、現地見積りの際にしっかり料金の内訳を確認することをおすすめします。
また、剪定や『食用に使える薬剤がいい』などの追加条件がある場合は、別途オプション料金が発生するのでご注意ください。
梅の木の毛虫駆除・消毒でよくある質問
ここまでは、基本的な梅の木の毛虫駆除・消毒のやり方について解説してまいりました。
ここからは、よくある質問とその回答についてご紹介したいと思います。
消毒した梅の木の『実』は食べても大丈夫ですか?
A.スミチオン乳剤やベニカ水溶剤を適切に使用した場合は、大丈夫ですが、『使用量・散布時期』にご注意ください。
記事上部でも解説しましたが、スミチオン乳剤・ベニカ水溶剤であればm『使用量・散布時期』を適切に守っていれば、実の収穫ができます。
ページ上部に、使用期限などをまとめた表がありますので、詳しくはそちらをご確認ください。
梅の木の消毒をしたいのですがスミチオンを使えば毛虫もアブラムシも防除できますか?
A.スミチオン乳剤を使えば、毛虫もアブラムシも防除できます。
スミチオン乳剤であれば、毛虫やアブラムシだけでなく、『梅の木につく虫全般』を防除することができます。
また、ベニカ水溶剤も同様に毛虫・アブラムシの駆除・防除ができます。
アブラムシの防除を考えている方の多くは、『実の収穫直前』の方が多いと思いますので、そのような場合はベニカ水溶剤がおすすめです。
梅の木の害虫対策で『オルトラン』が効くと聞きましたがどう使えばいいですか?
A.梅の木に使える薬剤は、『スミチオン乳剤』または『ベニカ水溶剤』の2種類で、オルトランは使用対象外です。
おそらく土に撒く『オルトラン粒剤』を使いたいのだと思いますが、メーカーの『適用害虫・使用対象作物』では、梅の木の毛虫・アブラムシ対策ではオルトランは使用対象外となっています。
オルトランも農薬ですので、メーカーが推奨していない使い方をするのは、おすすめできません。
梅の木に黒い害虫が大量発生していたのですがこれは何ですか?
A.ウメスカシクロバという、『蛾』の幼虫だと思われます。
たまに、ウメスカシクロバが昼間でも確認できるほど大量発生することがあります。
ウメスカシクロバは、蛾の幼虫であり、毛には毒が含まれているので触れないようにしましょう。
見つけたら、毒針毛固着剤などの毒を持った毛虫用の駆除剤を使って退治するのがいいでしょう。
梅の木の毛虫駆除・消毒のやり方まとめ
梅の木の毛虫防除のための消毒は、「3~4月末」と「5~6月末」に行うのがベストです。
スミチオン乳剤やベニカ水溶剤を使うことで、自分で駆除・消毒を行うこともできますが、ハードルが高い場合は業者への依頼もご検討ください。
駆除・消毒にかかる料金は、業者によって大きく異なりますので、必ず現地見積りで料金を確認してから正式な依頼をされることをおすすめいたします。