「毛虫を寄せ付けない忌避剤があるって聞いたけど、自分でも簡単に使えるのかな?」
上記のように、プロが使う忌避剤を使って「自分で毛虫の忌避対策(予防)をしたい」という人が増えています。
慣れた人でも使用時は慎重になりますので、初めての人の場合、プロ仕様の忌避剤を使うのは結構難しいかもしれません。
そこでこの記事では、毛虫の忌避剤の種類や使い方と、自分で毛虫防除をしたい方に向けて「簡単に使える忌避剤の代替品」をご紹介したいと思います。
- ※一般家庭の庭木・花卉類に発生する毛虫を対象に解説しております。食用作物・飼料作物向けの記事ではありません。
- ※農業初心者の方は、地域の就農サポート制度や農薬メーカーのセミナーを受けることをおすすめします。
もくじ
毛虫を寄せ付けない忌避剤の種類と使い方
プロが使用する忌避剤の中で、一般の方も買える市販品というと「住友化学園芸」の下記忌避剤が有名です。
- 【毛虫忌避剤のもくじ】
- ・ベニカS乳剤
- ・ベニカJスプレー
- ・忌避剤以外に必要な道具
- ※リンクをクリックすると、解説に移動します。
すべて同じ住友化学園芸の忌避剤ですが、それぞれ「形状・使用方法・使用目的」などが違いますので、詳しく解説したいと思います。
毛虫の忌避剤1.ベニカS乳剤
項目 | 特徴 |
---|---|
即効性 | 〇 |
持続性 | 1~2週間 |
使用対象 | 庭木、果樹、野菜など |
使用方法 | 水で希釈して、噴霧器で散布 |
魚毒性 | あり。(河川に絶対流さない) |
正確には「殺虫剤」ですが、忌避剤としても使えるのが「ベニカS乳剤」です。
忌避剤としての効果は約1~2週間程度で、「庭木・果樹・野菜」と幅広く使えるのが大きなメリットです。
一方で、「希釈」と「噴霧器」が必要になるので、初めて農薬を使う方にはおすすめできません。
一般の方が「庭木の毛虫防除(駆除)」を行う場合は、後述の「ベニカJスプレー」がおすすめです。
ベニカS乳剤を庭木に使うときの『希釈』例
「ベニカS乳剤」は希釈をする必要があります。
希釈倍数は使用対象によって異なりますが、例えば「庭木」の場合は希釈倍数400~800倍になります。
- 【庭木にベニカS乳剤を使うときの希釈例】
- 希釈倍数400~800倍、使用液量200~700ml/平方メートルまで。総使用回数、6回まで。
- 公式サイト:住友化学園芸「ベニカS乳剤」
「希釈倍数とか、使用液量とか全然わからない」という方は、ベニカS乳剤ではなく「ベニカJスプレー」を使った方がいいでしょう。
- ※ベニカJスプレーは、果樹・野菜などの食用・飼料作物には使えません。
- ※農業初心者の方は、地域の就農サポート制度や農薬メーカーのセミナーを受けることをおすすめします。
毛虫の忌避剤2.ベニカJスプレー
項目 | 特徴 |
---|---|
即効性 | 〇 |
持続性 | 1週間 |
使用対象 | 庭木、花卉、草花、観葉植物 |
使用方法 | スプレーボトルなので、そのまま噴射 |
「ベニカJスプレー」は、希釈や噴霧器なしで使える毛虫用の殺虫剤、兼、忌避剤です。
ベニカS乳剤と名前が似ていますが、有効成分が全く違い、ベニカJスプレーは「果樹・野菜などには使えない」という違いがあります。
また、噴霧器は必要ないですが、農薬散布用マスクや手袋、長袖長ズボンなどの着用は必要なので注意しましょう。
ベニカJスプレーの使い方
ベニカJスプレーは、「毛虫が発生しそうな場所に直接スプレーする」だけです。
ベニカS乳剤のように、希釈や噴霧器を使うなどの面倒な手間がありません。
ただ、繰り返しになりますが「農薬散布用マスク」「手袋、長袖長ズボン」などは着用するようにしましょう。
毛虫の忌避剤は「農薬」のためハードルが高い
ベニカJスプレーのように、「希釈・噴霧器が必要ない」毛虫用忌避剤もありますが、「でも、やっぱり怖い」という方もいらっしゃいます。
そのような場合は、「忌避剤の代替品」を使ってみてはいかがでしょうか。
ベニカS乳剤やベニカJスプレーほどの効果はありませんが、「農薬を使わなくて済む」ので気持ち的にはハードルが低くなると思います。
毛虫を寄せ付けない忌避剤の代替品
ここまで、「農薬」に分類される毛虫の忌避剤を紹介しましたが、「農薬を使うのは怖い」という方もいらっしゃると思います。
そこでここでは、農薬に分類されない「忌避剤の代替品と使い方」をご紹介したいと思います。
- 【忌避剤の代替品もくじ】
- ・木酢液を使った毛虫防除
- ・お酢を使った毛虫防除
- ※リンクをクリックすると、解説に移動します。
毛虫の忌避剤の代替品1.木酢液の使い方
毛虫に限らず、害虫・害獣全般の忌避対策に使われるのが「木酢液」です。
木酢液は、木炭を作るときの煙から抽出された液で、「木が燃える臭い」がするため、害虫・害獣全般が苦手な臭いだとされています。
臭いがすごいですが、「農薬は含まれていない」ので安心して使うことができます。
- 【木酢液の使い方】
- 1.木酢液の原液を、水で500~1000倍に薄める。
- 2.スプレーボトルに、(1)で薄めた木酢液を入れて、毛虫が発生する場所にスプレーする。
- 3.大体2~3週間に1回の頻度で散布する。
木酢液のかけすぎに注意
木酢液を植物にかけすぎると、植物が枯れることがあるのでかけすぎないように注意しましょう。
また、木酢液は「臭いが非常に強い」ので、洗濯物の近くで使うと、洗濯物に臭いが移ることがあります。
洗濯物を干す場所の近くに毛虫が発生するという場合は、「一時的に室内干しにする」などの対策をおすすめいたします。
毛虫の忌避剤の代替品2.お酢の使い方
料理に使う「お酢」も、毛虫の防除対策に使えます。
使い方は簡単で、「お酢:水=1:3」で薄めたものをスプレーボトルに入れて、毛虫が発生する場所に散布するだけです。
お酢は木酢液よりも忌避効果の持続期間が短いので、大体2週間に1回の頻度で散布するといいでしょう。
お酢も使いすぎると土壌に悪影響
お酢も木酢液と同様、使いすぎると植物が枯れる原因になるので注意しましょう。
とくに、継続して土にお酢をまいていると、土壌が悪化して植物が育たなくなることがあるので要注意です。
庭木・花卉への毛虫防除でお酢・木酢液を使うときは、「なるべく植物本体」に散布するようにしましょう。
毛虫を寄せ付けないための忌避剤の「使用時期」について
毛虫が既に発生している場合は、ここまでに紹介した薬剤を使って駆除と防除を同時にするのもいいでしょう。
ただ、「毎年毛虫が発生するから、発生する前に防除したい」という方もいらっしゃると思います。
そこでここでは、「毛虫を寄せ付けないための忌避剤の使用時期」について解説したいと思います。
毛虫の忌避剤は「3~5月」と「7~8月」に散布する
忌避剤を使うときは、『忌避対象の繁殖時期(発生時期)の1ヵ月前』くらいに使います。
毛虫の場合、種類によって繁殖時期が違いますが、大体「3~5月」と「7~8月」に忌避剤を使うのがおすすめです。
- 【毛虫の忌避剤を使う時期】
- ・3~5月
- ・7~8月
特に、「3~5月」は毛虫の大量発生を予防する大事な時期ですので、毎年毛虫が大量発生する方は忌避対策をしておいたほうがいいでしょう。
忌避剤の散布頻度は、大体1ヵ月に1回程度が目安です。
木・生垣は「剪定」で毛虫予防
「庭に木(生垣)があって、そこで毛虫が繁殖する」という場合は、「剪定」をしておくといいでしょう。
毛虫は、葉っぱの裏側や木の枝に卵を産みつけるので、余計な枝葉を剪定しておくと、産みつけられる卵の数を減らすことができます。
「自分で剪定するのは怖い」という方は、造園業者に剪定を依頼するといいでしょう。
毛虫を寄せ付けない忌避剤の種類と使い方まとめ
毛虫を寄せ付けない忌避剤には、「ベニカS乳剤」と「ベニカJスプレー」の2種類がありました。
ベニカS乳剤は「果樹・野菜」に使えますが、「希釈」「噴霧器の用意」が必要なので、農業をやっている人でないと使用のハードルは高いでしょう。
一方、ベニカJスプレーは、「果樹・野菜には使えない」ものの、スプレーするだけでいいので、一般家庭の庭木・花卉に発生する毛虫忌避におすすめです。
「やっぱり自分で忌避剤を使うのは怖い」という方は、庭木の消毒をやっている造園業者か害虫駆除業者への相談を検討してみてはいかがでしょうか。