蜂の巣駆除

蜂の巣を自分で駆除する方法~落とした後の処理方法まで解説~

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蜂の巣を自分で駆除するのは無理!」と思う方は多いですが、駆除業者が使っている装備は一般の人でも購入できるので、やり方さえ知っていれば簡単にできてしまいます。

とはいえ、駆除業者でも防護服の内側から刺されて救急車で運ばれたり、最悪死亡事故につながることがあるので注意は必要です。

そこでこの記事では、蜂の巣を自分で駆除する方法や「自分で駆除しない方がいい」判断基準などについて解説したいと思います。

※蜂に刺されたことがある人、怖くて駆除途中で逃げてしまう恐れのある人は、危険ですので業者に依頼しましょう。

蜂の巣が自分で駆除できるかどうかの目安

最初に、「蜂の巣を自分で駆除できるかどうか」の目安について解説いたします。

ここで紹介する条件に引っかかった場合は、経験者と一緒にやるか、業者に駆除作業を依頼されることをおすすめします。

蜂の巣の大きさが15cm以上なら自分で駆除は危険

一般的に、「蜂の巣が大きいほど駆除の難易度は高く」なります。

蜂の種類にもよりますが、蜂の巣の大きさと駆除に適した人材をまとめた表をご紹介します。

蜂の巣の大きさ 駆除に適した人材 備考
5cm未満 初心者でも可能 巣を作りはじめた位なので、初心者でも苦労せず駆除可能。
5~10cm 初心者でも可能だが、条件によっては危険。 狩り役の蜂が出始めるころなので、5~11月は危険。
10~15cm 駆除業者 狩り・防衛役の蜂がおり、ほぼ完成された状態。非常に危険。
15cm以上 駆除業者のベテラン 働き蜂の羽化により、子育てが始まる。数・攻撃性の両方で最も危険が高まる。

「はじめて蜂を駆除する」「何年か前に1回だけやったことがある」というような人の場合、10cm以上の巣は業者に任せるのが安心です。

また、10cm未満の巣であっても、「防護服の準備がない」「蜂の巣用の殺虫剤がない」という場合は刺される危険があるので道具を準備するか、業者に依頼されることをおすすめします。

>>>蜂の巣を自分で駆除するときに必要なもの

蜂の巣の場所が高所や狭所なら自分で駆除は危険

蜂の巣を駆除する際は殺虫剤を使うのが一般的ですが、「高所」に巣があると殺虫剤がきちんと届かない・風で届かなくなる問題が起こります。

また、屋根裏や床下などの「狭い場所・閉鎖的な場所」については、「殺虫剤を噴射するときに十分な距離が取れない」といった問題が起こります。

高所で薬剤が届かないと元気な蜂に反撃され、狭所で十分に距離が取れないと巣から飛びした大量の蜂に「ブスブス刺される」といった事故が起こる可能性があるので、自分での駆除はやめておいたほうがいいでしょう。

蜂の巣の場所がはっきりわからない場合

「蜂は見かけるけど、巣の場所がはっきり分かっていない」という場合、下記のような事故につながる恐れがあるため自分での駆除はおすすめできません。

  • 【巣が目視で確認できないときの失敗例】
  • 「蜂が2~3匹だけだったので、殺虫剤を適当に撒いたら、地面から大量の蜂が飛び出してきた」
  • 「屋根裏に蜂の巣ができたので点検口から適当に殺虫剤を撒いたら、アニメで見るような蜂の大群に襲われた」

蜂の種類にもよりますが、「1個の巣の近くに別の巣がある」ということもあり、目視で巣の本体や周辺状況が確認できない場合は自分での駆除はやめておくことをおすすめします。

蜂の種類がスズメバチなら自分で駆除は危険

ミツバチやアシナガバチは、もともと攻撃性の高い蜂ではなく、体もそこまで大きくならない種なので駆除は比較的簡単です。

対して、スズメバチは、子育て時期でなくても攻撃性が高く、体の長さはアシナガバチと同じ位でも太さが倍くらいあるので殺虫剤でなかなか死なず、駆除の難易度が高いです。

とくに、「オオスズメバチ」になると、平均的なもので3~4.5cm、大きいもので5cm以上になるものが出てくるので、専門の駆除業者に任せたほうがいいでしょう。

2種のアシナガバチにも注意

アシナガバチの中にも、攻撃性が高く、毒性の強い毒針を持ったものがいます(もともと、弱くはありません)。

  • 【要注意のアシナガバチ】
  • ・セグロアシナガバチ
  • ・キアシナガバチ

上記2種のアシナガバチは、日本で被害報告が多いアシナガバチです。

どちらも、巣の近くを通っただけで襲ってくる可能性があり、毒性が強いので自分での駆除はやめておいたほうがいいでしょう。

蜂の巣を自分で駆除するときに必要なもの

蜂の巣を自分で駆除する際に必要なものは、下記の通りです。

  • ・防護服(手袋)
  • ・蜂用の殺虫剤スプレー
  • ・高枝ばさみ
  • ・応急処置具
  • ・ゴミ袋(可燃ゴミ用)
  • ・虫取り網

防護服、殺虫剤スプレー、応急処置具については、「それっぽい名前だったから」という理由で間違ったものを買う人をよく見かけるので詳しく解説いたします。

蜂の種類別の防護服の選び方

蜂駆除用の防護服を選ぶ際は、「蜂用なのか」「厚みは足りているか」「手袋はついているのか」の3つに注意しましょう。

  • 【よくある買い間違い例】
  • ・ウィルス対策や特殊清掃用の防護服を買う
  • ・スズメバチ駆除で養蜂用の防護服を買う
  • ・手袋ありと思って手袋なしの防護服を買う

ウィルス対策や特殊清掃用の防護服は、蜂用の防護服と違って「針に刺されないようにする」ための厚みが足りていないので注意です。

また、蜂用の防護服でも養蜂家が使うミツバチを対象とした防護服では、スズメバチのような大きく・太い針は服の上からでも刺されてしまいます。

ミツバチとアシナガバチ・スズメバチ向けの防護服

実は、市町村役所によっては「蜂駆除用の防護服の貸し出し」をやっていることがあります。

ただし、必ずやっているわけではなく、みんなで使っているので汚れや臭いに敏感な人は自分で用意した方がいいでしょう。

ネットショップでは、スズメバチ用とされている防護服も見かけられましたが、業者が使っている防護服と比べると非常に値段が安かったので少し不安です。

ネットショップで2種の防護服を見つけましたが、「ラプターⅢ」が業者がよく着ている防護服です。値段が全く違うので、気になる方は見比べてみてください。

蜂の巣を自分で駆除するときの殺虫剤の選び方

蜂の巣を自分で駆除するときは、蜂専用の殺虫剤を使います。

「ゴキブリ用で代用できる!」という不親切なネット記事を見かけますが、ゴキブリ用だと蜂用と違って薬剤の噴射距離が短いので刺される危険がある距離まで近づかなければいけません。

1~3匹程度が、家の中に間違って入ってきたときはゴキブリ用で代用することも可能ですが、『蜂の巣』を駆除する際は危険ですので蜂専用の殺虫剤を使いましょう。

殺虫剤の種類 蜂用の殺虫剤 ゴキブリ用の殺虫剤
噴射距離(巣が対象) 3~4m -
噴射距離(個体が対象) 10~12m 1m未満
薬剤の主成分 フタルスリン、モンフルオロトリン、ビフェントリン イミプロトリン

薬剤の主成分がどちらも「ピレスロイド系」なので代用できると思われがちですが、実際は蜂用は「フタルスリン」、ゴキブリ用は「イミプロトリン」で全く構造が違う成分が使われています。

イミプロトリンでは、蜂は「すぐ死なない」ので反撃される可能性が高くなるので注意しましょう(残量が少ないときは、特に注意)。

忌避剤と殺虫剤の選び間違えに注意

もう一つ、よくある間違えですが、「忌避剤と殺虫剤の選び間違い」にも注意しておきましょう。

プロが見ても「え、このパッケージで忌避剤?」と思うものが結構あるので、買う前によく確認されることをおすすめします。

蜂の巣の駆除中に刺されたときの準備


防護服を着ていても、服の上から刺されたり、隙間から服の中に入って刺されたり、着替え途中に刺されたり、と蜂に刺されることがあります。

業者が注意していても刺されることがあるので、刺されたときの応急処置の手段は準備しておいた方がいいでしょう。

蜂刺されの応急処置具は2つだけで十分

蜂刺されの応急処置具では、「ピンセット」と「ポイズンリムーバー」だけ準備しておけば大丈夫です。

ピンセットで毒針を抜いてから、ポイズンリムーバーで毒を吸い出すだけです。応急処置後は、必ず皮膚科・内科のどちらかを受診しましょう(痙攣、呼吸困難、意識障害は119番)。

処置までの時間や人によって毒への耐性は異なるので、市販の軟膏は使わず、病院でもらった軟膏を使うのがおすすめです。

蜂の巣を自分で駆除する方法

自分で蜂の巣のを駆除するときは、下記の手順で行います。

具体的なやり方や注意点については、それぞれの見出しで解説いたします。

蜂の巣を駆除する時準備と注意点

駆除を実際に始める際は、下記の準備がしっかりできているか確認しておきましょう。

  1. 【準備のチェックリスト】
  2. 1.応急処置グッズ(ポイズンリムーバーとピンセット)はあるか。
  3. 2.防護服はちゃんと着たか。
  4. 3.殺虫剤は「蜂の巣駆除用」で間違いないか。
  5. 4.まわりに人はいないか。

応急処置グッズや防護服、殺虫剤については、記事前半で選び方を解説していますので、そちらをご覧ください。

>>>蜂の巣を自分で駆除するときに必要なもの

蜂の巣に殺虫剤を噴射する

「殺虫剤を巣に向かって噴射するだけ」の作業ですが、実際に駆除の初心者がやってみると「全然死なない!ムリムリムリ!!」と言って途中で逃げ出してしまうことがあります。

殺虫剤選びと噴射の仕方を守っていれば、15cm以下の巣なら5分ほどで全滅させられます。

  1. 【蜂の巣への殺虫剤の撒き方】
  2. 蜂の巣から、2~3mの距離に立つ。
  3. 巣に向かって、殺虫剤を噴射する。
  4. 巣から出てくる蜂がいても、巣に向かって噴射を続ける。
  5. 2分ほど噴射して巣から蜂が出てこなくなったら、周りの蜂に殺虫剤を噴射する。
  6. ※殺虫剤を噴射中は、後ろに下がったり、近づいたりしないように注意しましょう。

「巣のすぐ近くから噴射した方効きそう」と思ってしまいますが、近づきすぎると巣から飛び出た蜂が薬剤の届かないところに逃げる可能性があるので、2~3mの距離は保っておいたほうがいいでしょう。

スズメバチは専用の駆除剤がおすすめ

ミツバチやアシナガバチ向けの殺虫剤は、「蜂用」とひとくくりにされていますが、スズメバチ向けの殺虫剤は「スズメバチ用」となっています。

一応、蜂用でもスズメバチを駆除することはできますが、「5cm以上の個体がいる」「巣の大きさが10cm以上」の場合はスズメバチ用の殺虫剤を使った方が安心です。

ちなみに、「オオスズメバチ」については、市販の殺虫剤では「駆除対象外」になっています(地中に巣を作るので駆除方法が異なります)。

蜂の巣を落とした後の処分方法

蜂を駆除した後の巣は、下記の手順で処分します。

  1. 1.高所に巣があるときは、高枝ばさみでけずり落とす。
  2. 2.巣は可燃のゴミ袋を2重にした中に入れる。
  3. 3.生き残りがいないように、袋の中に殺虫剤をたっぷり噴射しておく。(吹き返りに注意)
  4. 4.袋の口をしっかり閉じて、燃えるゴミの日に出す。

巣の処分中も防護服は着用しておきましょう。

また、高所にある巣を落とすときは生き残りにびっくりして転落事故を起こすことがあるので、はしごは使わず高枝ばさみや物干し竿などの長い棒を使うことをおすすめします。

蜂の巣を除去した後の戻り蜂対策

「狩りに出ていた蜂」が、巣の駆除後に巣のあった場所に戻ってくることを『戻り蜂』と言います。

戻り蜂は放置しておけば別の場所に行くこともありますが、稀にすぐ近くで巣を作り直すこともあるので、下記のような対策をしておいたほうがいいでしょう。

  • 【戻り蜂対策】
  • ・駆除する日時を、「日が落ちてから」「雨の日」にする。
  • ・巣があった場所に、1週間に1回程度、巣作り防止用の殺虫剤を撒く。
  • ・巣があった場所に、設置型の蜂トラップを置いておく。

一番のおすすめは、「巣作り防止用の殺虫剤を撒く」です。

「防止用」と書きましたが、忌避剤を新たに買う必要はなく、駆除に使った殺虫剤を撒くだけでOKです。

蜂の巣を作らせないための予防策について

蜂の巣を駆除しても、同じ場所に巣を作られることもあります。とくによくあるのが、「毎年、同じ場所に巣を作られる」というお悩みです。

毎年巣を作られるという場合、「周辺に蜂の天敵が少ない」、「蜜や捕食対象となる虫がいる」などの『蜂が住みやすい環境が整っている』というのが原因です。

周辺環境が整っていると根絶は難しいですが、「同じ場所に巣を作られるのを防ぐ」方法はありますのでご紹介しておきたいと思います。

蜂の巣づくりの予防は4~6月が効果的

日本にいる蜂のほとんどは、4月ごろに巣を作る場所を探し始め、5~6月にかけて少しずつ巣を大きくしていきます。

殺虫剤の種類 蜂用の殺虫剤駆除に適した人材
ミツバチ 2~3月
アシナガバチ 3~4月
スズメバチ 4~5月

※細かい種によって、1カ月ほど前後あり。

そのため、予防をするなら4~5月、遅くても巣が大きくなりはじめる6月には予防をしておく必要があります。

設置型の蜂駆除トラップか忌避剤を散布

蜂の巣づくりの予防策には、「蜂駆除トラップを設置する」か「忌避剤を散布する(蜂用殺虫剤で代用可)」という方法があります。

面倒がないのは忌避剤の散布ですが、「敷地内にペットがいる」「6月に入ってよく雨が降るようになった」などの場合は忌避剤が使えないので、蜂駆除トラップを使った方がいいでしょう。

殺虫剤の選び方と同様に、「スズメバチ」については他の蜂よりも大きいので、スズメバチ専用の捕獲機を使うようにしましょう。

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